むし歯のプロセス

フッ素は有害?むし歯予防効果とデメリットを解説!

フッ素はフッ化物として存在

フッ素は全元素の中で最も反応性が高いので、自然界には存在せず、常に化学結合してフッ化物として存在しています。

フッ化物と聞くと良いイメージをもつ方もいれば、悪いイメージをもつ方もいらっしゃるでしょう。むし歯予防効果があるいっぽう、有毒と考えられているからです。

自然界にフッ化物を含まないものはありません。体内に入ったフッ素の99%は吸収されない。

実は生命に必要な14の微量元素のうちの一つで、飲料水・お茶・魚介類・骨付き肉などに多く含まれています。私たちが知らずに日常口にしている、あらゆる食品、あらゆる飲料水には、かなりのフッ化物を含んでおり、フッ化物を全く含まないものは、この地球上には存在しません。
80〜90%がフッ化物イオンの形で吸収されますが、カルシウムが存在すると吸収が阻害されます。
そのほとんどが尿とともに排泄されてしまいます。体内に残ったフッ素の99%は、フルオロアパタイトなどとして骨と歯に存在します。

ただし大量に摂取すると、エナメル質フッ素沈着症として歯に障害を与え、骨にも骨格フッ素沈着症等の影響が出ます。

むし歯に対するフッ化物の歴史

  • 1900年代初頭、フッ化物のむし歯予防効果の発見
  • 1938年、H.T.Deanの研究で飲料水中フッ化物濃度とむし歯、歯牙フッ素症の関係を発見
  • 1940年代、米国の水道施設でフッ化物の添加を開始
    1mg/L=1ppmが最適(H.T.Deanの研究)と判明し、水道水に1mg/L=1ppmのフッ化物を添加
  • 1975年、1978年、世界保健機構(WHO)が、加盟国へ飲料水のフッ素化はむし歯予防方法として安全で、安価で効果的なため利用するよう呼びかけ
    日本では水道法で0.8mg/L以下と定められており、フッ化物の添加は行われていません。

日本では、1970年代に歯磨剤、フッ化物歯面塗布、1970〜1985年頃にフッ化物洗口が多く行われ、1990年代には乳歯へのフッ化物歯面塗布が行われるようになりました。

フッ化物配合歯磨剤はもはや、あたりまえになっている

フッ化物配合歯磨剤は、セルフケアによるむし歯予防手段として、欧米の先進諸国では 1970〜80年代にかけて普及し、小児のむし歯の急激な減少へとつながりました。その結果、歯磨剤に対する考え方も変わってきました。 欧米各国でのフッ化物配合歯磨剤の市場占有率(シェア)は 90%以上となり、それらの国々でのむし歯減少をもたらしました。

日本では長らく低迷していましたが、1990年代後半に70%を超え、2010年以降90%を超えています。

エビデンス(科学的根拠)

むし歯予防に関する科学的根拠

スウェーデンのSBU(医療技術評価協議会)による2002年のむし歯予防に関する報告があります。約900の文献を調査し、はっきりと判明している事実があります。

効果が証明されている処置はたった2つ

  • フッ化物配合歯磨剤の日常使用は、効果的なむし歯予防法である
    フッ化物フリーの歯磨剤と比較すると40%もむし歯が減少するという研究結果があります。
  • その効果は量に依存する。つまり、より高濃度のフッ化物1,500ppmが、1,000ppmより効果的である
    1,000ppm(0.1%)以上の濃度では、500ppm (0.05%)高くなるごとに むし歯予防効果が6%上昇します。(WHO Technical Report No.846, 1994)
    フッ素は400ppm(0.04%)を切ると効果がない。

つまり、1,500ppmのフッ化物配合歯磨剤を日常使用することがむし歯の予防になるということです。2017年春、ようやく日本でも歯科医院で販売されている歯磨剤で1,450ppm(0.145%)のものが販売されるようになりました。それ以前は1,000ppm未満、950ppmしかありませんでした。

むし歯の原因に対する決定的なアプローチ方法がフッ化物なのです

むし歯のプロセス

予防というと、簡単にひと言ですんでしまいますが、原因をひとつずつ消去してゆくようなものです。
災害が起こる前に対策をしておくのと同じで、火事が起こってから火を消すのではもはや手遅れなのと同じですね。

フッ化物の安全性

急性中毒の可能性はかなり低い

フッ化ナトリウムの致死量は、成人で約5g、小児で33mg/体重1kg
腹痛が起こるのは小児で2mg/体重1kg

歯磨剤1回分の1g(約1ml)に含まれるフッ化物の量は、0.45〜1.45mgです。フッ化物配合歯磨剤を20ml飲むなど、かなりの量を摂取しない限りは安全です。
誤って吐き出さずに飲み込んだ場合、念のためにカルシウムを多く含む牛乳などを飲みましょう。

日本での通常の生活では慢性症状は起こりません

慢性症状の3徴候は歯のフッ素症(疫学調査から飲料水中の濃度2mg/Lで出現)、骨フッ素症(6mg/日でリスクが高まり、14mg/日で確実に出現)、骨フッ素症による骨折(特異な状況、例えば歯磨剤を2日に1本を何十年にもわたり飲むなどしなければ起こらない)

日本では水道法で0.8mg/L以下と定められているうえ、歯磨剤1回分の1g(約1ml)に含まれるフッ化物の量は、0.45〜1.45mgです。つまり、特別なことをしない限り問題ないといえます。

フッ化物の安全性に関してまとめますと、特殊な使用方法をしないのであれば極端に恐れる必要はありません。しかし、何事にも絶対はありませんので歯科衛生士・歯科医師のアドバイスのもとで正しく必要量を使用するのが理想的です。

まとめ

  1. 自然界のあらゆるものにフッ化物が含まれているが、体内に入ったフッ素の99%は吸収されない。
  2. フッ化物配合歯磨剤はもはやあたりまえで、1,500ppm(日本では1,450ppm)のフッ化物配合歯磨剤を日常使用することがむし歯の予防になる。 
  3. 日本での日常生活で急性&慢性症状が出ることはないが、通常使用する量1ml程度のフッ化物を飲み込んでしまった場合なら、牛乳を飲むことで対応が可能。
  4. 理想的には歯科医院でアドバイスを受け、みなさんにあった理想的な方法で使用することが望ましい。

しかし、全てのプラーク(細菌の塊)を除去すればカリエスと歯周病両方の発症・進行に効果があります。フッ素だけを使用しても効果はないでしょう。
歯面に直接触れさせるために、プラークを除去してから使用しましょう。

参考元:Bengt Olof Hansson・Dan Ericson(2014)『トータルカリオロジー』オーラルケア.
    眞木吉信(2018)『新編 フッ化物をめぐる誤解を解くための12章+4つの新トピックス』医歯薬出版.

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